オリンピックのアスリート、サッカーやプロ野球の選手、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるアスリート達でありますが、アスリート達の成功の影には、指導者の努力というものがあります。


人を育てるために必要な大切なコミュニケーション


人を育てるために必要なのものの一つに、コミュニ―ケーションがあるということにあまり異論を唱える人はいないと思います。
アスリートや選手たちは、指導者やコーチ・監督とのコミュニケーションの中で育っていきます。


特にそれが如実に現れてくるのがスポーツ界といえるかもしれません。


指導者のコミュニケーション能力とは


コミュニケーションというと、ただ単にアスリートや選手たちと会話をしたことで、「私は、コミュニケーションを十分とっている」という人がいますが、単なる人気取りをやっているにすぎない人もいるだろう。


オリンピックのアスリートと指導者のエピソードを聞いていると、その多くが厳しい課題を課せられて、それがクリアできないとやり直し!といったこともあるようです。


選手に嫌われたっていいと思うほどの情熱


レスリングの吉田沙保里選手や伊調馨選手を金メダリストに育てあげ、10人もの世界女王を育ててきて、リオ五輪のレスリング出場は6階級すべて自分の教え子であるという、栄監督は次のようなことを言っています。
「選手との信頼関係など必要ない、全力でぶつかる」


女子レスリングは将来オリンピック種目になるからといって指導を任された栄監督は、女子の指導ということで悩んだ時期があった。
「女子は1から10まで言わないと動かないし、不安になる。指導が1人の選手に偏るとほかの選手の妬みや不満が募る。強くしたい一心で、叱る言葉が乱暴になれば『あなたにはついていけない』という冷ややかなムードになる」と愚痴っている。


確かに、今まで男子選手としてやってきた人が、いきなり女子選手をまとめる指導者になれといわれても難しいものがあるのだろう。しばらく選手との関係はギクシャクしていたが、栄監督は練習したいという選手がいれば自分の休日を返上して指導していた。
時には、技術を教えるだけでなく私生活まで選手と向き合い、熱意を行動で示した。
こうした後姿を見ていた選手たちは、例えば次第に1人の選手の指導に集中しても、ほかの選手が妬むことがなくなっていった。
そうこうしているうちに、コーチとしての結果が出てきた。結果がでれば、ますます選手はコーチを信頼していくようになった。


吉田沙保里選手によると、栄監督は、練習をしているときに、1人でもノルマができないと、連帯責任で全員、いきなり練習時間が2時間から4時間に倍増することもあったようである。
しかし、「嫌われてもいい、その代わり熱意をもって全力でぶつかる」という思いがあったからこそ、それが選手に伝わったのであろう。


本当に強くなりたいと思っている選手は、指導者が人気取りをしているのか、情熱をもって全力でぶつかっているのか、言葉ではなく行動で判断しているのです。


落合監督が、選手指導でやったこと


プロ野球の落合監督に言わせてみると、選手にもいろいろ性格や能力があって、1を言って3理解してくれる選手もいれば、1を理解させるのに3回言わなければならない選手もいて、選手の性格も考え、それを見抜いて選手別に伝え方、コミュニケーションを変えるのも必要な能力だとしています。


そのために、落合監督がやったことは、何か指導して話をしたときに、最後に、「今、オレが言ったことを、オウム返しでもいいので、オレに言ってみろ!」


こうすると、選手は、必ず最後にこう言われるからと、真剣に耳を傾けるようになる。また選手が指導した内容を言っているのを聞いて、その選手の理解度をチェックすることができる。


指導においては、本当の意味のコミュニケーションとは、口で言って指導して終わりではなく、実際にどう伝わったかを検証し、選手が内容を理解し、納得し、それを実行して、さらにはそれで結果を残したとき、はじめてしっかりとしたコミュニケーションが取れたということになるのであろう。


いろいろなコミュニケーションがあるが


栄監督のように熱意を行動で示す、落合監督のように本当に理解するまでしつこく、いずれにしろ、指導におけるコミュニケーションは、ただ知っている知識や技術をしゃべって終わりということではない。


本当の意味で、人を育てるというのには、こうした難しさがあるのであろう。


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