勉強をしたり、仕事をしたりするときは、集中しなければいけないときもあります。
ところが、家で机に座って一生懸命暗記するよりも、喫茶店で本を眺めていたほうが暗記できるという経験がある人も少なくないと思います。

普通に考えれば、静かな自分の家、書斎などに比べ、喫茶店は周りの人が雑談していて、隣の人が珈琲をすする音、カップを置かれるときの音、そしてBGMなどがかかっていたりします。
しかし、なぜだか集中できてしまっていたりします。
集中するには、静かすぎれば良いというものではない

学生たちを被験者として、分厚い防音壁に囲まれたせまい実験室の中に入れて、その後実験が終わったあとに解放された学生たちに、どんな心理状態であったかを確認したところ、自分の歯区域や心臓の鼓動までもが気になって、落ち着けるどころじゃなかったと回答しています。

つまり、音が遮断された空間なので、かなり落ちつけたのかと思いきや、かえって緊張状態にあったのです。
こんな実験もあります。
アメリカの大学で行われた感覚遮断実験なのですが、完全防音の部屋をつくり、その中できちんと温度と湿度管理はするものの、光も遮断し、触る者も匂いも音もない、つまり五感への刺激を最小限に抑えた環境が作られ、その中に被験者たちを入れて、どうなるかを観察します。

最初は、光もなく音も匂いもないので、とりあえずは寝るそうです。しかし、そういつまでも寝てはいられません。
起きると今度は、落ち浮かない様子になり、そのうち、歌を歌ったり、自分で両手を叩いたりするようになります。
つまり、自分で刺激を作り出すのです。

しかし、それでも大半は2日でギブアップしたそうです。

人間は、音や匂いによって、それから危険を察知し、身を守る行動をとってきましたが、それがかえって集中力を発揮させるとも言えます。
喫茶店などで、周りの人の雑談である程度ざわついていたり、穏やかなBGMが流れているほうが、かえって静かすぎる環境のところよりも心が落ち着き、集中できるのでしょう。料理店にいっても、シーンとしていて、スプーンが皿にぶつかっても、その音がものすごく大きく感じられてしまうぐらい静かな店だと、かえって緊張してしまったりします。
また、静かすぎる環境だと、慣れないうちは、いろいろと雑念が浮かんできてしまったりもします。

すこし周りがざわついているぐらいのほうが、集中力が発揮できるようにできているのかもしれません。

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