日本で毒蛇と言えば、沖縄に棲息するハブを連想する人もいるかもしれませんが、日本各地に棲息していることで有名な毒ヘビは、ニホンマムシです。

 

日本各地に棲息する毒ヘビ

クサリヘビ科の毒ヘビになるのですが、山地や森林はもちろん、川原の土手、森林、草むらなどにも潜んでいて、カエルやトカゲ、ネズミなどの小型の哺乳類を捕まえて食べています。

よく、精力ドリンクなどに使われたりしていますが、その毒性は意外にも強いので注意が必要です。

 

小さいけれども油断は禁物

ニホンマムシは、その大きさは全長45~80cmで、どちらかといえば小型のヘビです。
しかし、毒性は強くて、毎年3000人もの人がニホンマムシに噛まれていて、そのうち10人ほどが命を落としています。
死亡率でいうと0.3%になります。

 

毒性というと、ハブのほうが強いというイメージがありますが、ヘビ毒を皮下注射したときの致死量LD50(半数の人が死ぬ量)を調べてみると次のようになります。

 

  •   第1位:ヤマカガシ LD50=5.3 (mg/kg)
      第2位:マムシ LD50=16 (mg/kg)
      第3位:ハブ LD50=54 (mg/kg)

 

つまり、マムシの毒は、ハブの約3.4倍強いことになります。

だからといって、ハブが安全というわけではありません。
ハブは体長も長く大きく、1回あたりの毒の注入量が多いため危険なことには変わりありません。

 

マムシが怖い理由とは

 

ニホンマムシはその毒性もさることながら、ハブならば沖縄にしか棲息していませんが、ニホンマムシは日本各地、しかも昼間でも、半日陰の雑木林やじめじめした水辺や草むらでは餌を求めて活動したり、木の根や岩陰に潜んでいることがあります。

つまり、私たちがアウトドアを楽しんでいるそのそばに潜んでいるかもしれないのです。

 

マムシの毒とは

 

マムシもハブもクサリヘビ科のヘビで出血毒が主体になっています。神経毒も一部含まれていますが、大部分の毒成分は出血毒で、噛まれるとしばらくして激痛が襲い、内出血が拡大していきます。

 

これは血管組織が破壊されていくためで、ひどくなると循環障害のため筋肉細胞が壊死を起こしていき、手当が遅れたり、噛まれた部位や毒の注入量によっては、循環器全体や腎臓にも障害が拡がって命を落とすこともあります。

 

マムシに噛まれたら


毒素の廻りはそれほど速くないので、落ち着いて周辺の人々の協力も得て、なるべく安静を保ち病院に行き治療します。応急処置としては「傷口を切開しない、強く縛らない、慌てない」ことが大事です。
傷口を切開しても、傷の治癒に時間がかかるだけで、マムシ毒を排除する効果はあまり期待できないようです。
せいぜい咬み傷周辺を指で強く圧迫して、血液とともに毒を絞り出すくらいが良いでしょう。

 

マムシがマムシに噛みついたら?

 

そこである疑問が生じます。
もし、マムシがマムシに噛みついたら、噛まれたマムシはいったいどうなってしまうのでしょうか?
マムシ同士で喧嘩することもあるだろうし・・・

そもそも、毒ヘビ同士ではあまり喧嘩をしないようですし、万一マムシがマムシに噛まれたとしても、実はマムシの血液の中には仲間の毒に対する抵抗力が備わっているため、他のマムシに噛まれても平気なのです。

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