昔ほどではなくなってきていますが、よく酒のつき合いとかいい、お酒の席に出席しないとつき合いが悪い奴だと言われたりしてしまいます。
日本人は、お酒が好きな人は、やれ正月だ、やれ祭りだというと、朝からずっとお酒を飲み続けたり、夜通し徹夜で晩酌をしたりする人もいます。
しかし一方、下戸ではなくてもお酒はあまり好きではない、できれば飲みたくない、つきあいだから仕方なく飲んでるけどなんで酒なんて美味いの? なんていう人もいます。

実は、お酒が強いか弱いかというのは、遺伝的な問題があります。そしてアルコールを代謝する酵素によって、酒豪、下戸、飲めるけど強くない人というようにわかれてきます。

お酒が強くない人は、すぐ顔に出るとかいったりしますが、顔面の紅潮(フラッシング)が見られるのはアジア系黄色人種のみであり、一般に体質的に酒が弱いとされている。
これはアセトアルデヒドを酢酸に変えるアルデヒド脱水素酵素の遺伝的変異に起因することが明らかにされている。
エタノールの代謝としては次の三段階に分けられる
1.エタノールからアセトアルデヒドヘ
     アルコール脱水素酵素(ADH)が90%以上関与
2.アセトアルデヒドから酢酸へ
     主にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が働く
3.酢酸から炭酸ガスと水へ   

アルデヒド脱水素酵素(ALDH)には6種類あるがその中でアルコール代謝で特に重要なのはALDH1とALDH2であり、ALDH2には酵素欠損型(失活型)であるALDH2*2がある。
中心的な役割を果たしているALDH2はALDH2*1とALDH2*2に分けられる。
この2種類のALDH2のうちどちらかを一つずつ両親から受け継いでいてその組み合わせによってお酒が飲めるか飲めないかが決まってくる。
両親からALDH2*1を引き継いだ場合は、お酒につよく全体の45%
両親からALDH2*1とALDH2*2を引き継いだ場合は飲めなくはないが強くない
両親からALDH2*2を引き継いだ場合は、お酒をまったく飲めず全体の10%となる。

欧米人はお酒に強いALDH2*1を持っているのに対し、日本人は半数以上がALDH2*1を持っておらずお酒に弱いことになる。

ALDH2*2は黄色人種系民族にのみ存在し、白人や黒人には検出されず、モンゴロイド系民族特に日本や中国大陸では高頻度(5~25%)に存在している。

いつ頃ALDH2*2が出現したかの推定は、少なくとも白人、黒人、黄色人の三大人種に分岐した後、およそ2万5千年~3万年前に突然変異により生じたと考えられている。

ヨーロッパでは水代わりにビール、お酒にワインなどといわれており、また日本人はノミニュケーションなどという文化があるが、お酒をまったく飲めないという人が10%、半数以上がお酒が弱いということを考えると、考えさせられる問題である。

一気呑み、お酒を飲めないと付き合いができないなどという悪しき風習はだんだんなくなってきている気がしますが、いい傾向ではないでしょうか。

 カテゴリ

 タグ