電灯がついている都会ならそんなことはありませんが、電灯も全くないような山奥でも、月が出ていればその月明かりで周りが見えます。

しかし、その時見える風景は、カラーではなく白黒の世界なのです。

虹を感じる文化の違い


人の目に見える可視光はその波長が380nm~790nmになっています。そしてご存じのとおり、一番波長が短い方から、紫色、藍色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色の順となり、虹の七色になります。

実際には、日本では七色の虹という言葉があり、虹の七色がよく知られていますが、この可視光はここまでが紫色、ここからが緑色などとはっきり分かれているわけではなく、色のグラデーションの中でなめらかに変化しています。

実際に虹の絵を描くときに三色で表現する文化もあるようです。

なぜ月明かりでは景色が白黒なのか


虹の話しで少し脱線しましたが、実は虹の七色はもちろんカラーとしてとらえられるわけですが、この虹の七色を感じることができるのは、目の網膜にびっしりと並んでいる可視光を感じ取る4種類の視細胞のおかげなのです。

そして、4種類の視細胞は、それぞれ感じ取れる可視光の守備範囲が違っています。

色を見分ける錐状体


可視光を感じ取る視細胞にはS錐状体、M錐状体、L錐状体、桿状体があります。

S錐状体は、青色の光(420~480nm)に感度があります。S錐状体が刺激されると青色の光を感じます。

M錐状体は、緑色の光を中心(500~590nm)に感度があります。M錐状体が刺激されると綠色の光を感じます。

L錐状体は、赤色の光を中心(510nm~620nm)に感度があります。L錐状体が刺激されると赤色の光を感じます。

桿状体は、460nm~520nmの波長の光に感度があります。

青・緑・赤というと、液晶ディスプレイなどが、青・緑・赤の3原色であらゆる色を再現していることを連想する方もいるかと思います。

そして、感度には遺伝による個体差があります。

550nmの黄色の光が入ってきた場合は、L錐状体とM錐状体が刺激されて、黄色の光を感じ取ることができます。

桿状体は、非常に鋭敏で、微弱な光でも捕らえることができます。そして桿状体が刺激されると私たちは白い光を見たというように感じます。

なぜならば、桿状体では色は見分けられないからです。

従って、山奥で街灯がいっさいないような所で、月明かりだけで周りの景色をみると景色が白黒に見えるのです。

アニメなどで街灯などが全くなく、月明かりだけに照らされたキャラクターなどが出てくるシーンなどがありますが、キャラクター自身が蛍のように発光しているのでもなければ、本当はそのキャラクターはカラーではなく白黒でなければいけないということになってしまいます。

それとも、月光の灯りが特別に強力だという設定になるのかもしれません。




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