私たちは、よくダイエットに気を使っていますが、考えてみると野生の動物にはあまり太ったものがいません。
ええ? ゾウなんか、あんなに体が大きくて太っているじゃないか・・・ 豚だってあれはデブなんじゃないか? と思うかもしれませんが、どうなのでしょうか。

話がややこしくなるので、まずは私たち人間で考えてみましょう。
人間は、美味しいものがあるとついつい食べ過ぎてしまいます。お腹いっぱいに食べても、目の前に美味しいスイーツ等を出されると、「スイーツは別腹」とかいってペロリと食べてしまいます。
そして、その結果太ってしまったりします。

夜起きていても、さほどに腹が減っているわけでもないのに、なんとなく口さみしいとかいって、カップラーメンを食べたりします。

野生の動物を考えた場合に、確かに野生の中のライオンなどは、満腹になると獲物を襲わないといいます。そして満腹になったのか草原で満足そうにくつろいでいるライオンを見てみると、なるほど太っている個体はあまり見たことがありません。

ライオンに追われる立場のシマウマやインパラも、草原に草がたくさんある時は食べ放題状態です。

しかし、家の近所を歩いていると、すごく太った猫や犬を見かけます。太った猫などは、猫本来の俊敏性などみじんもなく、のたのたと歩いています。あれでは簡単にネズミに逃げられてしまうでしょう。

確かに、野生の動物で太っている個体がいないというのは、肉食動物であれば、草食動物を追いかけて食べなければなりません。太っていればそれだけ同じ距離を走ったとしても消費するエネルギーがあがり、また早く走ることができないので獲物に逃げられてしまうでしょう。

逆に、草食動物であれば、太っていれば当然早く走れないので、肉食動物に捕まって餌食にされてしまう可能性が高くなってしまいます。

彼らにとっては、死活問題であり、そんなに余分なエネルギーを脂肪として蓄えておくなんて贅沢な余裕などないよ! ということになるのでしょう。

実はライオンは、空腹でないときは目の前に獲物がいても襲わないで、飢えてくると狩りをするということは有名な話ですが、仕留めた獲物も腹八分目で食べるのをやめるそうです。だからこそそのおこぼれをハイエナやハゲワシといった動物が食べれるというしくみになっています。

野生の動物は腹八分目ということで、うまく食物連鎖を維持しているともいえるでしょう。

住居に住むことを覚え、食料を蓄えることを知り、天敵がいなくなった人間は、ライオンに追われることもなければ、銃や自動車というツールを得ることで、わざわざシマウマやインパラと追いかけっこして狩りをする必要もなくなりました。つまり、腹いっぱいで動いがにぶくなっていても、食料にありつけることができるのです。

こういったことを考えると、人間やそのペットは、完全に食物連鎖の流れの中からはみ出してしまったのかもしれません。

やはり腹八分目ということは大切なんでしょう。

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