現在、日本では健康食品の市場は1兆2000億円の市場と言われていて、様々なサプリメントが発売されています。
でも、いろいろ宣伝されていたり、ネットで紹介されていたり、ホームページに記載されていたりすることって、どのくらい信憑性があるものなのだろうか。

米国では、『ナチュラルメディシン・データベース(NMCD)』とう書籍があり、サプリメントの有用性について記載されています。この日本語版として『健康食品・サプリメント(成分)のすべて』が全1037ページにもわたる分厚い本として出ています。
日本でサプリメントのエビデンスというと、次の2つになるのかと思います。

① 国立健康・栄養研究所ホームページ
  『健康食品』の安全性・有効性情報
② 健康食品・サプリメント(成分)のすべて―ナチュラルメディシン・データベース


サプリメントの広告にある、効果があったという『効果』については、薬事法では言えないことになっています。
まあ、ここではエビデンス(科学的根拠)について述べていきたいので、薬事的なことは一切無視して話しを進めることにします。

サプリメントの広告で、『***に効く』とあり、体験談・臨床例・逸話などが載っていたとします。その場合は、この信憑性というのはきわめて薄いと言わざるを得ません。

医薬品でデータの捏造がありましたが、企業が自社の商品の売り上げに有利に働くように、勝手に話しをでっちあげて、それを体験談にしたとすると、これは企業ぐるみで虚偽誇大表示・広告をしたとして、薬事法云々を問う前に、景品表示法違反になってしまいます。
そこで企業は、体験談などを消費者にお金を払って募集します。そして非常にお上手な体験談を書いて下さった方に謝礼を渡している場合があります。
この場合、体験談を書いているのは、企業の募集に応募した一般国民であり、彼ら彼女らは、体験談を書いてお金をもらいたいから、あることないことを適当に書くといったことになります。
企業は、集まってきた体験談は正直に書かれたものだとして、薬事的に問題ある部分を多少リライトするかもしれませんが、ほぼ同じ内容でチラシやホームページやパンフレット、雑誌などに載せます。企業は別にウソをついていることにはなりません。
百歩譲って、集められた体験談がすべて嘘偽りのないものだったとしましょう。
それでも臨床例・体験談としては、数が少なく、またあくまでも使用者の主観であり、専門家が効果を何かの指標に基づいて判定しているわけではありません。
そういった点から、サプリメントと医薬品では、エビデンス(科学的根拠)に圧倒的に差があります。


サプリメントの中には、きちんと基礎研究で細胞や動物を用いる基礎研究を行っている場合があります。
しかしこれは、ヒトの代わりに細胞や動物を用いた実験であって、作用メカニズムを明らかにすることはできるかもしれませんが、実際にヒトでどれだけの効果があるかを示すものではありません。

次に臨床研究を行っている場合があります。サプリメントでよくあるのが、特定のサプリメントを試したら、症状がよくなったという臨床報告です。これまた百歩譲ってこれが本当であったとしても、せいぜい数例にすぎず、この結果を万人に当てはめるというのは早計です。

臨床試験にもいろいろあり、観察的研究や介入試験があります。しかし体験談のエビデンスは低いということになります。


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