健康や美容・ダイエットのために運動を始める人は結構多くいます。

特に、新年や新年度、生活環境が変わったときなど、心機一転とばかりはりきって運動を始める人もいるでしょう。

特に、シューズがあればすぐにでも始められるジョギングは人気も高く、日本のランナー人口は、1000万人を突破しているといいます。
ところが、大阪樟蔭女子大学教授で内科・循環器科専門医である石蔵文信先生によると、「マラソンやハードなランニングは健康にプラスになるどころか、寿命を縮める恐れもある」としています。

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走ると命の危険が!?


適度な有酸素運動は健康面でプラスになるが、無酸素運動の比重が高くなってくると心臓や血管に大きな負担をかけることになり、特に動脈硬化が進んできている高齢者にはお奨めできないということです。

定年後からスポーツを始めランナーになったという人も結構いるかと思いますが、40歳を超えてからいきなりフルマラソンを始めるのは自殺行為と言っても過言ではないと警鐘をならす人もいます。

2009年には、タレントの松村邦洋さんが東京マラソンに出場し、心肺停止状態になって倒れてしまったというニュースを覚えている人も多いかと思います。幸いにAED(自動体外式除細動器)で緊急処置されたことで事なきを得ましたが、処置があと数分遅れていたら死亡していた可能性すらあります。

意外と報道されていないマラソンレースでの死亡


実際に、国士舘大学が2008年~2012年の5年間に救護活動を行った89の市民マラソン大会で、ランナーがマラソン中に心停止となった例数は16例でした。

この数値がどれだけ全体像を示していることになるのかはわかりませんが、単純にみると、5レースあったら1レースで心停止が出ているということになります。

前述の松村邦洋さんの場合、テレビ中継もされている東京マラソンということもあり、走っていたのがタレントということもありニュースになりましたが、心停止するもAED(自動体外式除細動器)などで事なきを得た場合などはニュースにならず報道もされないでしょう。

実際に、アメリカの心臓専門医が30年に渡り、5万2600人を追跡調査した結果、週に32~40kmのランニングをしている人は、それ以下の人に比べて死亡率が高かったという結果がでています。
また別の調査では、ジョギングの運動習慣を持っている人は大幅に死亡率が低いものの、自転車ぐらいのスピード(13km/時)でランニングする人は死亡率が高かったという結果がでています。

安全に走るには


アメリカの心臓学会専門誌では、5048人のランナーを対象に追跡調査した結果をもとにして、「健康的なランニング」の目安を示しています。
それによると
(1)走るのは週に1~2時間ぐらい
(2)走るのは週3日以内とする
(3)走行スピードは7km/時ぐらいで、慣れても8キロが限度

7km/時というと、スロージョギングと言われるスピードで、もちろん個人差もあり人によって違いますが、走りながらおしゃべりができるペースです。
成人男性がビジネスモードで歩くスピードが6km/時、少し早歩き気味で歩いているスピードと言ってもいいでしょう。

張り合ったり、頑張ったりするのは良くない


走り始めると、隣の人に負けてなるものかと、ついついスピードを出してしまったり、長時間走ってしまったりしがちです。
また、半年続けて来たんだから、今日は多少体調悪いんだけど走らないととストイックになる人もいます。

定年後、マラソンを始めて、こうしたリスクもきちんと頭に入れ、フルマラソンで4時間を切るぞ!という目標を立てるのも立派で、こうした目標に向かってストイックに努力するというのもとても素晴らしいことです。

しかし歳をとってからの健康維持のために走るというのであれば、無理をする必要はありません。 健康のために始めた運動が原因で、体をこわしてしまったというのは本末転倒です。

体調が悪いときは休み、スピードは出さず、時間や距離を気にせずに、周りの景色を楽しみながらゆっくりペースで走ればいいのです。

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