ノコギリヤシは、夜間トイレに起きなくなり良く眠れる、長時間座っていても安心できる、外出してもトイレの場所を気にしなくてすむようにというように、前立腺肥大による症状を緩和するものとして広く知られています。

前立腺肥大は、中高年の男性で気になる病気の一つです。50歳を過ぎると増えてきて、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%が前立腺肥大であると言われています。この前立腺肥大に対して予防・改善効果があると言われているハーブがノコギリヤシです。

ノコギリヤシと夜間の頻尿


ノコギリヤシは、北米南東部に自生するヤシ科の植物で英名ではソウパルメットと呼ばれています。外見上は45 cm~1 mに広がるノコギリ状の葉を持っていることが特徴となっていて名前の由来にもなっています。ノコギリヤシは耐寒性が強く、中国では樹皮を棕櫚皮(しゅろひ)を止血の効果を期待して使用したりもします。

ノコギリヤシの果実には、前立腺肥大に有効と言われる成分があることから健康食品の食材として広く知られるようになってきています。前立腺肥大になると、尿が出るまでに時間がかかったり、尿の勢いがなくなり足元にぽたぽたと落ちたり、残尿感があったり、尿に行く回数が多くなったりします。特に夜間頻尿といって夜中にトイレに何回も起きたりするようになります。

海外でも実績が高いノコギリヤシ


日本ではノコギリヤシというと、健康食品やサプリというイメージが強くありますが、中国では「棕櫚子(シュロシ)」という生薬名で、漢方で泌尿器疾患の治療に古くから強壮・利尿効果を期待され用いられてきました。ヨーロッパでは1990年フランスの研究で前立腺肥大症に特異的な効き目があると報告されてから、医学会の注目を集め、フランス、イタリアなどで臨床試験が行われ、ドイツのコミッションE(ドイツ連邦保健庁の薬用植物の評価委員会)でもその効果が認められ、泌尿器科用のハーブ医薬品として広く使われるようになりました。

ノコギリヤシが夜間頻尿などに効くというエビデンス


ノコギリヤシが前立腺肥大やそれによる夜間頻尿に対して効果があるという報告がフランスであり、欧州では医薬品として用いられ、中国でも漢方生薬として用いられているということです。果たして本当に効くのかということですが、そのエビデンスレベルは日本医師会などが監修しているナチュラルメディシンデータベースにおいて、評価の高い文献が1つもしくは2つの臨床試験において、有用性をしめしていて肯定的結果がでているとして、効くと断言できないが効果の可能性が科学的に示唆されているものという位置づけになっています。つまり効くと断言まではできないものの、きちんとした可能性を示す確度の高いデータがあるということになっていますので効果が期待できます。

ノコギリヤシはなぜ、夜間頻尿に効くのか


前立腺肥大による夜間頻尿などは、年齢とともにリスクが高くなっていきますが、これは加齢によるホルモンバランスの乱れが原因だとされていて、男性ホルモンのテストステロンが、5α-リダクターゼという酵素により、ジヒドロテストステロン(DHT)に変化して過剰に働き、前立腺に存在している受容体と結合して刺激を与えてしまうことが原因ではないかと考えられています。

ノコギリヤシには、この5α-リダクターゼという酵素の働きを抑える効果があり、それによりジヒドロテストステロン(DHT)が過剰に作られることを抑えるために、前立腺肥大による初期症状の改善や予防に効果があると考えられています。実際に夜間頻尿に代表される前立腺肥大の症状を、5-αリダクターゼ阻害薬と同じぐらい抑える効果があるともされています。

さらにノコギリヤシには、プロスタグランジンやロイコトリエンといった炎症を起こす物質を体内で合成するリポキシゲナーゼやシクロキシゲナーゼといった酵素の働きを阻害することもわかってきていて、前立腺炎を抑制する効果もあると言われています。

明石家さんまさんも愛用しているノコギリヤシ


以前、テレビで明石家さんまさんが、「ノコギリヤシを食べているネイティブアメリカンには頭の禿げている人がいない。自分もノコギリヤシを飲んでいる」と発言をしていました。明石家さんまさんは、夜間頻尿ということではなく、ハゲ防止という意味で飲んでいるようですが、ノコギリヤシには育毛効果もあるということが言われています。

ノコギリヤシが前立腺肥大に効くという理由に、前立腺の受容体を刺激してしますジヒドロテストステロン(DHT)を作りだしてしまう5α-リダクターゼという酵素を抑える働きがあることがわかっています。実は、このジヒドロテストステロンには、それ以外にも髪の毛のもととなる毛母細胞の働きを低下させてしまう働きがあると言われていています。

つまり、ノコギリヤシによって5α-リダクターゼという酵素を抑えると、毛母細胞の働きを低下させるジヒドロテストステロンの生成が減り、薄毛に効くのではないかというメカニズムが考えられています。

残念ながら、発毛効果に関しては、実際に信頼がおける臨床試験データなどの科学的データは今のところ不十分ですが、ノコギリヤシの作用メカニズムからすれば、育毛作用の可能性もあるといえるでしょう。

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